日本刀フォーラム「刀鍛冶の生活」

昨日12日、
日本刀フォーラム「刀鍛冶の生活」を開催しました。

お話いただいたのは、
現在の刀剣界を代表する無鑑査の刀匠3名と、
将来有望なお弟子さんの若手刀匠3名の6名です。

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せっかくなので、
当日配布された略歴の中からご紹介。

河内國平 刀匠
昭和16年、大阪市生まれ。
昭和41年、関西大学法学部卒業。
同年、人間国宝 宮入昭平氏に入門し、昭和47年に独立。
昭和59年、人間国宝 隅谷正峯氏に再入門し、備前伝を習得。
昭和62年、無鑑査認定。
平成17年、奈良県無形文化財保持者。
センスの良さと、
卓越した鍛冶技術によって生み出される作品は、
相州伝・備前伝といった全く異なる流派にも関わらず、
すべて最高水準に位置する。
また、東京芸術大学大学院非常勤講師なども勤め、
名実ともに相備わるカリスマ的存在である。

上林恒平 刀匠
昭和24年、山形県鶴岡市生まれ。
昭和42年、人間国宝 宮入昭平氏に入門し、
昭和51年に独立。
昭和60年、無鑑査認定。
平成20年、山形県無形文化財保持者。
宮入昭平師の教えを忠実に踏襲したように見受けられるが、
氏の終生の課題である地鉄研究の成果が現出しており、
飽くなき向上心と実直な性格を垣間見ることができる。
さらに、刀身彫刻も手がけているが、
その技量はそれをお家芸とする一派をも凌駕する。
また、作刀にタイする真摯な姿勢は後継者の範となるもので、
常に指導的な立場にある。

宮入法廣 刀匠
昭和31年、長野県生まれ。
昭和53年、國學院大學文学部卒業。
同年、人間国宝 隅谷正峯氏に入門し、
昭和58年に独立。
平成7年、無鑑査認定。
同年、東御市無形文化財保持者。
父に宮入清平、
叔父に人間国宝の宮入昭平、
叔父に同じく人間国宝の大隅俊平を持ち、
斬界の異端児と呼ばれる。
正倉院刀子の復元においては、他の追随を許さない。

髙見國一 刀匠
昭和49年、兵庫県生まれ。
平成4年、河内國平に入門し、
平成11年に独立。
師風の備前伝を得意とし、
豪壮な刀に焼かれた華やかな刃文から、
自信と勢いが感じられ、
特に最近の刃文の構成には、
新たな境地への試行が見られる。
また、新作名刀展では、
常に賞の上位を占め、
次世代を代表する刀工として嘱望されている。

高橋恒厳 刀匠
昭和52年、群馬県生まれ。
平成10年、上林恒平に入門。
平成15年、文化庁の作刀許可を取得。
現在、師の下で修行中。
これまで4回にわたって新作名刀展に出品し、
すべて上位入選を果たす。
作品は地味ではあるが、あか抜けており、
大器の風格を漂わせる。
師と同様、作刀に打ち込む真摯な姿勢には、
好感が持て、将来有望な刀工である。

北川正忠 刀匠
昭和54年、滋賀県生まれ。
平成14年、大阪芸術大学写真学科卒業。
同年、宮入法廣に入門。
平成20年、文化庁の作刀許可を取得。
現在、師の下で修行中。
本年度の新作名刀展に初出品をし、
優秀賞・新人賞を受賞する。
作品は大師匠 隅谷正峯の備前伝、
俗に隅谷丁子と呼ばれる刃文を忠実に焼く。
隅谷伝の正統な継承者たらんことを願い、
刀銘に正峯師の「正」を一字いただく。
今後の精進が期待される。


フォーラムでは、
刀工の道を志したきっかけ、
修行時代の話、
師について人柄やエピソードなどから
話ははじまりました。

不思議なことに、
師匠とお弟子さんって、
雰囲気が本当に似ていらっしゃるんです。

何でですか?
っていう進行からのフリに、
お弟子さんたちは
師のようになりたいという憧れと思いから
自然に似てくるのかもしれません…と。

家族以上に密接で厳しい
縦社会の中で育まれた深い絆。

現代社会の中で失われつつある
大切なことを教えられた気がします。

これまで1000年伝承されてきた
日本独特の技と心、
この先1000年守っていくには、
刀工だけではなく、
刀を鍛える炭を焼く職人まで
すべての技術を
受け継いでいかなければならないのだと、
再認識しました。

フォーラムに参加された
愛刀家のみなさまも、
初めての方も、
日本刀の奥深さと魅力を
改めて感じたのではないでしょうか。

「新作名刀展-現代の刀工と刀職-」は、
7月20日までです。

みなさまのお越しをお待ちしています。
by ChidoMuseum | 2009-07-13 21:47 | 展覧会