佐々木曜展はじまる

8月22日から佐々木曜展がはじまりました。佐々木曜画伯は、1941年生、東京都在住で、山田慎吾、高山辰雄に師事、日展会員で審査員を歴任されておられます。
 本日初日ということで佐々木先生がおいでになりました。福島大学本間志保さん、帯広大谷短期大学太田有利沙さん、東北芸術工科大学林真理さんの3名がちょうど8月18日から23日まで当館で学芸員実習中で、佐々木曜展展示作業をカリキュラムのなかでおこなったので、佐々木先生から特別にアーティストトークをしていただきました。
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 佐々木画伯は、この展覧会にあたり「絵のこと、曜のこと」というごく限定の冊子を自らつくられ、そのなかで:
「日本画」
日本画は描くのに手間がかかるし、思ったように描けません。一度描いたものを描きなおすことも出来ません。どうしても跡が残ってしまいます。そんなことで日本画を描くには、はじめに十分に案を練ります。下図を作り推敲し、構図を決め、色も決めてそれから取りかかります。途中で気分が変わり変更ということはないのです。初めから最後まで確固とした意志をもって描きます。一時の感情で描き始めることはまずしないのです。油絵の作家と、日本画の作家は、脳みその構造が全く違うように感じてなりません。
「鹿」150号  鹿に限らず馬でも牛でも猫でさえ、なぜあんなに歩く姿が美しいのだろう。鹿の場合は立っているだけで美しい。凜とした姿は一刻一刻を充実させていないと出来ない芸当だ。だらだらと歩いている私からは崇高さとしか映らない。
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「河」40P
山の斜面がじかに川に落ち込んでいる。岸辺がない。水の流れは渦を巻くが音はない。水が流れているというより、川が動いている。とうとうと流れる川のすごさ。最上川の印象である。
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「海」」150F(下記写真右)
水平線があるためにその上10cmくらいは遠い空に感じます。海のところはやはり水平線があるため海に感ずるわけです。この広い画面のなかで海を表現しているのは水平線だけ、またはその前後20cm足らずのところだけです。もちろん海の深さを感じるように色を何回も何回も重ねて描いて、深みをだしていますが、波を描くなど海らしい説明は全くしていません。同じように顔や手の周りはそこだけ見ると空でもないし雲でも無い空間です。そのなんでもない空間がこの絵の大部分をしめています。よく見ると雲のようであり、また風でもない、ただの絵の具のむらに見えます。そのむらが、空間に動きをもたらしてくれています。
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「希望」150F(上記写真左)
宝くじに当たりたいという希望ではないのです。この人物はいうなれば女神様みたいな存在、それは少し神に悪いから、せめて神様の化身なの?と感じるものにしたいのです。不純さも感じない、といっても甘いもすいもわきまえている、そんな姿を描きたいと思っていた作品です。

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「春来る」55変

 
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「鯛」20F
当館では平成15年特別展「游の会 飛翔する12人のアーティスト」でご出品いただき、静謐な画面の中に強靱な意志を感じさせる作品を鑑賞することができました。本展では、人物風景静物をモチーフとした幻想的な佐々木曜の世界をご紹介します。
「日本画の制作実演」講師佐々木 曜先生によるギャラリートーク「列品解説」 (13:30~14:30 )とワークショップ(14:40~16:00 )を予定いたしております。
 上記作品の他、「黄葉」150F「雲」150F「桜」150F「野」150F「花」120F「桜樹」6曲1双「桜」100F「花影」50P「星の夜」40F「松風」50P「橋」40P「森林」30変「山頂湖」50F「宇」100P「2つの橋」25F「緑野」20M「静夜」20P 素晴らしい幻想的な作品を展示いたしております。
 9月24日まで開催中です。みなさまのご来館をお待ち申し上げております。
 
by ChidoMuseum | 2014-08-22 18:16 | 博物館のとっておき