新作名刀展

8月1日から20日まで鶴岡市・(公財)致道博物館で開催中の新作名刀展、今年は例年になく若い女性が鑑賞されております。

いまや若い女性の間では刀剣女子とか、「刀剣乱舞」等のゲームがきっかけで全国で鑑賞されているようです。
下記写真は、話題の三日月宗近、加州清光、和泉守兼定、長曽根虎徹、燭台切光忠のストーリーの漫画。
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新作名刀展の作品集もとっくに売り切れ、本部にも在庫はないと聞きました。

8月20日までありますので、どうぞ刀剣女子はじめ大勢の皆さまのご来館をお待ちいたしております。
 この後は出羽庄内藩酒井家の遺宝展(8月22日~9月28日まで)で、重要文化財藤四郎吉光はじめ刀剣の展示もいたします。最も見どころは、重要文化財見返り元重のお里帰り展示です。昭和61年盗難にあい、了解をだして、昨年大阪のコレクターが苦労されて前所有者から買い上げていただき元重の公開の運びとなりました。(国指定の文化財盗られて知る、時効制度や善意の第三者制度の不条理さ、外国を見習ってほしい。)
 初めての公開はお里である鶴岡で、元所有者故酒井忠明名誉館長も天上で喜ばれていることでしょう。展示はなんと35年ぶりになり、いま文化庁に申請手続き中です。重要文化財の公開期間の制限があり、9月からの展示になるとおもいますが、是非ご期待ください。


日本刀は、その美しい姿、地鉄の鍛え肌、刃文の変化など、
その神秘的な芸術性・精神性から古今東西を通じて高く評価され、多くの人々を魅了しています。

日本刀は古来より武器としての用途以外に、信仰、儀礼、装飾、そして他の美術工芸品にさきがけて鑑賞の対象としての役割をもってきました。
 刀は、単なる武器を超えた存在として神聖なものとされ、しばしば信仰の対象となりました。刀剣を御神体としている神社に、名古屋の熱田神宮、奈良の石上神宮などがありますが、神の日常の道具としての刀剣を御神宝とし、祈願のため奉納して参りました。また、刀剣のもつ霊力に加護を期待し、源家の髭切、平家の 小烏丸など、将軍家や大名家などにも家督の象徴として多く見られるところであります。
儀杖としての刀剣はまさに権威の象徴としての性格をもち、節刀を賜ることは朝廷から全権を委任されたことを意味しました。近世にあっては、大名、旗本が将軍家へ献上し、また将軍家より下賜され、藩主から臣下への下賜も同じく儀礼的贈答に用いられてきました。
 このように、日本刀に武器としてではない用途役割が存在したことは日本文化の特色であり、このことが、古名刀が後世に大切に伝え続けられた所以であると考えています。私たちは刀剣文化とともに、この刀剣を日本の文化遺産として後世に伝え次代が引き継ぐ文化財とし大切にしたいと思います
 
 「梅干と日本刀」樋口清之著に
 「土木工法に優るとも劣らない日本の技術に「鉄」の技術、つまり刀の技術がある。
鎖国を解いて、日本の文化が世界に紹介されはじめてから、西洋人が驚嘆したものに、浮世絵の技法とこの刀の技法がある。
 浮世絵が西洋の近代絵画の幕開けに大きな影響をもたらしたことは有名だが、刀のほうは、そうはいかなかった。 西洋の科学は分析科学だから当然日本の刀を持ち帰って分析した。その結果、刀の鉄の成分などはわかったが、ついにおなじものを作ることはできなかったのである。わずかに、正宗の名刀にモリブデン鋼が含まれていることをドイツ人が知り、それを、日本ではゾリンゲンとして知られる、剃刀に混入して、研いで使えるようにすることぐらいが、刃物としては日本の刀に一番近い応用であった。 
 日本の刀の造りは、ついに世界の人々が真似できなかったのである。」とあります。

by ChidoMuseum | 2015-08-14 18:29 | 展覧会