致道ブログ

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カテゴリ:博物館のとっておき( 162 )

庄内藩主酒井忠徳にあてた堂上派歌人たちの書状その他

⒉月⒛日新潟大学 錦 仁名誉教授が来館され、調査いただいている酒井忠徳公の詠歌について解説集をいただきました。
忠徳は⒛代の後半、宮部義正(高崎藩重臣・晩年徳川将軍和歌指南役)から詠歌の手ほどきを受け、その縁で烏丸光胤・冷泉為泰を紹介され同時に入門しました。忠徳の奥方脩姫(松平定信の妹)、側近の吉野丈義も入門しました。和歌の秘伝書を伝授してもらうことを目標に先生の教えを守って稽古に励み、秘伝書を授かったら決して漏らさないと誓いをたてて入門するのです。
 まもなく光胤は病没、その前に忠徳は日野資枝(ひのすけき)に手紙で入門を申し込み、詠歌に励み、「詠歌一体」など伝授をうけ、京都で資枝に面会口授によって伝授は完了しました。これらの資料から烏丸(からすま)家・冷泉(れいぜい)家・日野(ひの)家の詠歌指導の違い、伝授に対する誓状の違い、光胤・為泰・資枝の人間性の違いなどがくっきりわかります。烏丸光栄は桜町天皇に和歌の指導をした歌人でその末子の資枝は日野家に養子にはいり、日野家の跡を継ぎましたが、5人の男子がいた烏丸家は跡を継ぐ人がなく、中御門光胤が養子となって跡をつぎました。日野家は儒学の家柄で室町幕府と深い関係があり、従って資枝が跡を継ぐことによって貴族の文化と武家の文化を継承する和歌の家として存続していきます。
 当時の朝廷歌壇の状況が資枝から送られた多量の歌会資料によってわかるのも興味深いことです。忠徳と資枝の関係はうるわしく心が洗われます。月に3度歌を送ってよいかという忠徳に、資枝は何度でもいいから送ってくださいと語りかけ、私の歌もお送りしますから遠慮なく批判を書いて送り返してください、お互い批判しあうと歌の稽古がともにすすみますと資枝は述べております。大名歌人忠徳・堂上派歌人の一人ひとりを解明する貴重な資料ですが、万葉集・古今集から続く和歌の伝統、古今伝授以降、江戸時代に確立した天皇を頂点とする和歌の普及と指導体制などを解明するための貴重な資料群であると思います。秘伝書、歌学、歌論書、添削文書など月山・鳥海山のごとき雄大な資料群です。
錦先生からは以上の概要をうかがいました。「大量の資料を目にした時から、すでに2年半経過した。驚くことに故酒井忠治氏(当館理事)がすべてを翻字していた、その資料と原文を比べて解読し、解説を加え、パソコンに打ち込む作業をしてきたが、体力の限界に達した。ここで一旦打ち切る。」という一文が経過にあるように大変ご苦労されての研究に心から感謝申し上げます。
加えて膨大で貴重な忠徳公の江戸俳諧資料もあります。それらの調査研究にはまだまだ時間がかかりますが、歌と俳諧、書簡や当時の資料の解明に期待したいと思います。

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by ChidoMuseum | 2016-02-20 19:01 | 博物館のとっておき | Comments(0)

イタリア食科学大学の学生さんが来館

イタリア北部ブラ市にあるイタリア食科学大学の学生ら18人が10日から、鶴岡市を訪れています。今日は、13時30分に致道博物館を訪れ、館長の説明とお茶を体験、そして館内を見学しました。お茶では、正座してお茶をいただく作法に挑戦、大変おいしいという評価をいただきました。イタリアの大学とはいえ、学生さんの国籍は世界各国からから入学。市が国連教育科学文化機関(ユネスコ)の食文化部門に認定されたことなどが交流のきっかけ。 一行は、大学の研修旅行で今月7〜18日に東京と山形、大分の3都県で食文化について交流する予定。鶴岡市には16日まで滞在し、市内の農家民宿や海辺、出羽三山神社斎館などに宿泊し、精進料理や仕込み期の蔵元、そして13日は、赤かぶの収穫や大山の新酒祭りに参加するということでした。庄内の冬の食を大いに楽しんで研修していただきたいと思います。
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by ChidoMuseum | 2016-02-12 17:15 | 博物館のとっておき | Comments(0)

「いぶり出し」はじまる。

 毎年この時期になると重要文化財「田麦俣民家旧渋谷家住宅」で、いろりに、まきをくべて、屋内に煙りを充満させます。
茅屋根にひそむ虫の駆除や、すすで縄などをコーテングして丈夫にする作業がはじまります。
 今年は四名の女性が二人一組となって週3回位で作業をします。
本日14日から庭木の剪定などの残材、杉などをくべ始まりました。
 冬の風物詩となった「いぶりだし」、取材でにぎわいました。
作業は昼過ぎまでおこなわれ、3月半ばまで続ける予定です。
1月15日付荘内日報掲載記事(一部)
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by ChidoMuseum | 2016-01-14 18:31 | 博物館のとっておき | Comments(0)

旧鶴岡警察署庁舎修復工事状況を覘けます。

 先に旧鶴岡警察署庁舎修復工事現場が見えるように透明の壁面にしましたが、さらにバージョンアップして屋根をつけ反射をさけるため両側を壁面をつけ、現在の工事状況が間近にみえるようになりました。是非ご入館の時には現在揚げ屋しているため建物が宙にういている状況を覘いていただければと思います。
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by ChidoMuseum | 2015-10-30 17:14 | 博物館のとっておき | Comments(0)

修復工事着々曳きやに向けて

 旧鶴岡警察署庁舎は、アゲヤされており、現在基礎工事を1m移動先へ行い、それからヒキヤ、そして建築に入ります。
 現場は狭いし、なかなか工事の状況が見えないので内部展覧会場前の現場前の囲いを一部スチールから透明のアクリル?に変えて工事現場の中を見えるようにしました。内部が暗く外が明るいため反射して見えにくいのが残念ですが。
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by ChidoMuseum | 2015-10-11 16:11 | 博物館のとっておき | Comments(0)

出羽庄内酒井家の遺宝 みどころ5

荘内日報連載 出羽庄内酒井家の遺宝 みどころ5は、酒井大井戸茶碗です。
大名家が所蔵する茶道に関する道具類の目録を数寄屋帳と言います。その中には「茶入れ、茶碗、切れ類、茶入れ袋、香炉香合、硯箱料紙箱手箱、盆折敷類、皿鉢猪口、水指、掛物、花生、棚類、釜風炉、壺類、屏風、他」が記載されています。
その「茶碗の部」に井戸茶碗・油滴天目・高麗茶碗など70点余があげられ、井戸茶碗は3点ほど所在が認められています。
この井戸茶碗は16世紀頃に朝鮮半島から渡来した高麗茶碗の一種で、名前の由来は諸説がありますが、高台が高台が竹の節状で釉が鮫肌状であるのが特徴です。桃山時代の千利休の高弟、山上宗二が記した山上宗二記には「井戸茶碗。是れ天下一の高麗茶碗」と評されており、わび茶で最も賞翫される茶碗とされています。
旧荘内藩主酒井家が所持していたことから「酒井」の銘を持っており、酒井家から本間家に伝わり、昭和9年に重要美術品に指定されました。
この重要美術品というのは昭和8年に国内の古美術品の海外流出を防ぐことを目的として制定された法律で当時多くの貴重な古美術品が認定されました。戦後の昭和25年にその法律に代わる現在の文化財保護法が制定されてからは、その
中から重要文化財となったものも多くあります。しかしながら重要文化財ではなくともその資料の美術的価値を十二分に伝える貴重な文化財のひとつとも言えましょう。
酒田の豪商・本間家ゆかりの美術品を多く所蔵する本間美術館には茶道具も多く、中でも「割高台茶碗」「高麗青磁象嵌平茶碗」をはじめ「唐物大海茶入」などの茶道具類も酒井家からの拝領品です。
室町時代から普及した茶道は、桃山期に千利休によってわび茶として大成されたと言われます。酒井家でも3代忠勝が「潮音堂」墨跡や肩衝茶入(銘安国寺)「中山肩衝」などを手に入れたといわれています。この大井戸茶碗の伝來は不明ですが枇杷色の釉が薄くかかった一見素朴な風情の茶碗は大名であっても一人の茶人として心を引きつけたのかも知れません。本展では他に茶道具として「阿蘭陀釜」「藤四郎たが掛け茶壺」も出品しております。これらも酒井家の数寄屋帳に記載されています。(本間豊当館学芸部長)
展示期日も9月28日まで、残り僅かとなりました。是非お見逃しなく、御来館をお待ちいたしております。
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by ChidoMuseum | 2015-09-21 19:29 | 博物館のとっておき | Comments(0)

出羽庄内酒井家の遺宝 みどころ4

9月17日附荘内日報連載「出羽庄内藩酒井家の遺宝展」みどころ4は、琵琶 銘 武蔵野  荘内神社蔵です。おなじく当館菅原義勝学芸員の執筆によるものです。
この琵琶は、平曲に用いる平家琵琶で、「平家物語」語る際に使用されたものです。生糸を撚った4本の弦、皮が張られた撥面(ばちめん)には、銀象嵌の三日月を付けています。月下には桔梗や萩など秋草を描き、銘にあるような「武蔵野」の風景をよく表しています。撥面の中央部には使用痕が残っており、附属の撥で幾度も奏でていたことを物語っています。もともと酒井家所有の琵琶でしたが、江戸時代のはじめには、家臣の角田儀右衛門の手に渡ります。なぜ家臣に下賜されたのか。その由緒は元和八年庄内藩のはじめにさかのぼります。角田儀右衛門とは、上野国高崎で酒井家に仕えた忠勝の近習で、酒井家に伝わった記録「大泉叢誌」では、「頗る文才も有りて田畝度量の事も委しかりし」と評価されています。儀右衛門はじめ、荘内に対して「近頃まで戦場なりしゆえ、人情も荒々しいだろうの」とのイメージをもっていたようです。そのため、熊野の山伏を装って偵察に窺いました。鶴岡に入ると土地の開けていること、東西南北の山海の素晴らしきことかから「善国」と知って忠勝に報告したといいます。偵察途中には盗賊と間違えられて逃げたりと多くの困難を伴いました。この琵琶は、このような苦労と功を賞して忠勝から角田儀右衛門へ授けられました。その後明治時代に入ってから角田儀右衛門の子孫が荘内神社に奉納し今日まで伝わりました。
 
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by ChidoMuseum | 2015-09-16 18:58 | 博物館のとっておき | Comments(0)

クリアファイル発売

出羽庄内酒井家の遺宝展にあわせ、クリアファイルを発売し手います。
重要文化財色々威胴丸(酒井忠次所用)と山形県指定有形文化財朱塗黒糸威二枚胴具足(酒井忠次所用)のクリアファイル
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国宝太刀銘信房作と国宝の同拵(こしらえ)のクリアファイルです。
是非ご見学の記念としてお求めいただければ幸いです。1枚300円、4枚1000円
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by ChidoMuseum | 2015-08-30 17:33 | 博物館のとっておき | Comments(0)

旧警察署、あげや作業始まる

6月29日、旧警察署のあげや工事 始まりました。柱等、鉄骨で固定し、建物の北側を油圧で挙げました。

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玄関の飾り石の上の柱が、10cmあがりましたが、ただ石の上にのっているだけ。
 新潟地震、東日本大震災に良く耐えられたものと思います。これを70cmあげることになります。

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旧警察署工事終了後に予定されている石垣修理のため弘前城のひきやをあわせてテレビ取材し、放映する予定と聞きました。その映像が今から楽しみです。
*追加  7月5日写した下の写真、建物全体が75cm上がった状態。上の写真と較べると「見事に上がったな!」。
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by ChidoMuseum | 2015-07-06 17:17 | 博物館のとっておき | Comments(0)

重要文化財旧鶴岡警察署庁舎の修復事業

高橋兼吉が設計し、明治17年創建された旧鶴岡警察署庁舎が、地元建築士の皆様が後世に残したいと熱望し昭和32年当館に移築以来56年が経過しました。
新潟地震、東日本大震災などにも耐え忍んできた旧鶴岡警察署庁舎、
平成25年9月から平成29年9月までの重要文化財旧鶴岡署庁舎修復工事計画です。
警察署庁舎が重要文化財に指定されたのは日本全国で初めて、それだけに、修復も明治創建当初を基準に、いろいろ庁舎内使用方法や歴史を検証しながら、また各地の類例を検証調査しながら慎重に進められ、いろいろ検討のうえ設計図等がつくられつつあります。
平成25年11月から平成26年5月中旬まで環境整備準備、仮設工事、素屋根かけが終了しました。  
 1階および2階一部は健全と判断、全解体でなく骨組を残した半解体工事に変更を文化庁が指導了承しました。
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 平成26年5月から平成26年10月末までの解体工事が完了しました。
 木材、柱一つ一つに番付を付し、釘、ガラス、瓦等、また工事痕も一つ一つチェックする気が遠くなる丁寧な解体工事でした。
釘あとチェックと番付(写真)
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 設計的な新発見あり、直ぐ道路に面して復元できないことや、交通上の安全性の観点からも北に館内1m移動という案が3月13日文化財審議会および文化庁で了承されました。
平成27年1月20日から1月27日までの埋蔵文化財の調査が終了しました。
平成26年12月から平成27年6月30日まで、古材補修、新材加工等木工事と基礎解体工事がおこなわれています。と同時に、今後、1m移動ということで、「ひきや」の準備が急ピッチで進められております。全体を鉄骨で足下をかため、柱等を一体化して油圧ジャッキアップで一斉に70cmあげます。その後、その下の石等基礎を解体し、移す箇所に基礎をつくり、その基礎に移動してのせます。文化財建造物ひきやの経験豊富な県内の工事担当(株)我妻組は、この旧警察署庁舎終了後、石垣修復等のため弘前城のひきやをおこなう予定と聞いています。素屋根をかけた鉄骨や足場がある限られた環境での作業、ひきやの技術は大したもの。
また旧警察署庁舎は、公開有効保存活用するため、活用計画検討委員会を設け、11月21日、12月16日、1月30日、3月26日開催しました。その内容を設計に活かせるようしながら関係機関と協議いたして参ります。
今後建設が本格化して参ります。
皆様、旧鶴岡警察署の竣工をご期待下さい。
ひきやの準備にはいる(下 写真 6月19日)
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by ChidoMuseum | 2015-06-15 17:15 | 博物館のとっておき | Comments(0)