土曜講座第4講「庄内地方の民間信仰」

11月10日午後2時から当館講座室において土曜講座がおこなわれました。
第4講は講師は庄内民俗学会幹事の後藤義治先生、
「庄内地方の民間信仰」と題して
庄内地方で古くから伝えられてきた数々の信仰、
日常生活の一部として一般民衆の間で行われている信仰を
解説お話いただきました。
なにげなく暮らしているなかの多くの信仰の奥深さと意義を
あらためて感じました。
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1、民間信仰とは
 ○自然崇拝ー自然に対する畏敬の念と自然との共存
 ○精霊崇拝(しょうれいすうはい)ー家族、共同体仲間、動物、植物
 ○自然崇拝、精霊崇拝が仏教儒教、道教など外来宗教とかかわり
 ○現在の民間信仰ー現世利益(げんぜりやく)を求める信仰ー生活習慣
2、昔語り「神のない話」 話者 土田市子氏(青山)
 昔、あるところの家の法事さ、和尚様と小僧さんと、和尚様を馬に乗せて小僧がひぱっていったど。しばらく行ったば、小僧「小便でる」と道ばたさ、しようとしたば、「これこれ 道ばたさ やたらに 小便するものでない 神様がいるさげ だめだ」和尚様が言ったど。小僧がまんして、ずーと行ったけど。また我慢できなくて川に向かってはじこうとしたば、馬のてっぺんから、「こら こら 川には川の神様がいるさげ、だめだ」、「田には田の神様がいるさげ だめだ」「山には山の神様がいるさげ だめだ」
 ずーと行ったば、小僧いよいよ我慢できなくなって、神様のいないところはどこさあるんだと思って、考えて、考えて、「そうだ わかった」と、大木の下にきて、馬を木につないで、するすると木に登っていったど。木のてっぺんから、和尚様の頭めがけて小便したど。「なに するんだ」と和尚様が言うと 「神(髪)のないところは、和尚様の頭きりないだも」といったけど。 
とんぴんからり ねけど
3、山の民間信仰
 ○山の神
 ○樹木の恵み
 ○山の神と農業
 ○山と漁業
 ○川の神
4、火伏せの信仰
 ○初未網張講
 ○天狗の縄張り
 市内鳥居町と山王町の一部町内会の有志で古峯原講別名「縄張り講」という行事がおこなわれている。
 昔、鳥居河原端から矢場小路にかけて火災が起こった。その時五日町東の秋葉山の近所から移住した老婆が「火事は火の神の使いである天狗が縄を張るから起きる。天狗が来て縄を張るのは、正月初未の丑の刻(午前2時)だから、子の刻(午前1時)に町内一帯に縄を張ると、天狗はこれを見て、自分の出番はないと立ち去り、難を逃れることができる」と語ったという。ところが町内の侍が酒に酔った勢いで、さんざん悪態をついて、脇差しでその縄を切って帰ったら、たちどころに自分の家は全焼してしまったと伝えられている。このように古峯原信仰と伝説が結びついて、同町の縄張り行事は毎年1月初未の夜におこなわれてきた。                     「鶴岡百話」梅木壽雄
by ChidoMuseum | 2012-11-10 20:32 | 講座・教室