茨木のり子展 於世田谷文学館 

  6月29日まで「茨木のり子」展が東京・世田谷文学館で開催されていると6月22日付朝日新聞天声人語で知りました。残念!行けません。期日は迫っておりますが、お勧めとご案内を申し上げます。

 「現代詩の長女と呼ばれた人は、その通りに戦後の女性詩人の先頭を歩み続けた。東京の世田谷文学館で開かれている茨木のり子展(29日まで)を訪ねて、戦時の体験に裏打ちされた平和への意志に触れる心地がした」という文で始まっています。
  茨木さんは、鶴岡に縁があり、甥にあたる先輩が学生時代は茨木さんに下宿していた話をきいていましたし、当館でも茨城のり子展を開催しこともあり、身近に感じます。鶴岡市の加茂のお寺に茨木さんのお墓があり、内外の多くのファンがお参りに訪れているそうです。ユーモアと強いメッセージ性がかんじられる詩句に国内はもちろん外国にも多くのファンがおります。

[笑う能力] 茨木のり子

「先生お元気ですか
我が家の姉もそろそろ色づいてまいりました」
他家の姉が色づいたとて知ったことか
手紙を受けとった教授は
柿の書き間違いと気づくまで何秒くらいかかったか
 
中略・・・・・

山笑う
という日本語もいい
春の微笑を通りすぎ
山よ 新緑どよもして
大いに笑え!

気がつけば いつのまにか
我が膝までが笑うようになっていた
(「笑う能力」の始めと最後を紹介しました。全詩は、茨木のり子詩集「寄りかからず」をごらんください。)

 世田谷文学館というと思い出すのは、藤沢周平展が行われたときのことです。京都の真如堂の齋藤真成先生のところで俳優渥美國泰さんとお会いしました。私は帰りに東京の世田谷文学館によって藤沢周平展を見にいくとお話ししたら、渥美さんは、自宅の近くだから、じゃそこで待ち合わせして一緒に行こうということになりました。待ち合わせて拝見しましたが、藤沢周平展は満員、大勢の人、人、人、渥美さんはこんなに人が多い世田谷文学館をみるのは初めてと驚いておりました。「珈琲でも」となり、その店を探すのに苦労して文学館は人がいっぱい、近くのところもだめ、結局二人でとことこ歩いて、最寄り駅近くの喫茶店でやっとおちつき歓談したという思い出があります。それにしても鶴岡市出身の藤沢周平さんの人気はすごいと改めて感心しました。
 先週たまたまテレビで一番謝りたい人という番組をしていて、俳優石田純一さんが劇団が2つに分かれたときに、ついていけなかったことを渥美國泰さんに謝りたい、渥美さんの友人は、彼はそんなことは思っていなく石田さんの活躍を喜んでいると述べているのをみました。今は亡き渥美さん、当館や松ヶ岡にこられたり、渥美さんのコレクション展を当館でも開催し、その借用にアクト青山に伺ったり、お人柄を懐かしく思い出します。
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写真上:松ヶ岡のかすみ桜と桃畑で、齋藤真成先生と渥美さん
鶴岡市立藤沢周平記念館では常設展のほか、企画展「風の果ての世界展」、そして当館「国宝太刀銘信房作と太刀銘真光」展が開催中です。是非みなさまのご来館をお待ちいたしております。
by ChidoMuseum | 2014-06-22 18:54 | あれこれメディア情報