ー見果てぬ空 悠久の刻ー前田春冶洋画展ーこころの旅 シルクロードの碧い道

 平成30年度の展覧会が、前田春治洋画展をかわきりに始まりました。前田春治洋画展は4月1日から5月6日まで開催します。庄内地域では、「よみがえりの山出羽三山」「北前船」「さむらいゆかりのシルク」と3つの日本遺産があります。「さむらいゆかりのシルク」では、当館の田麦俣民家、旧西田川郡役所、そして藩校致道館や松ヶ岡開墾記念館など構成文化財になっており、ゆかりがある「シルクロード」を主題とした前田画伯の絵画作品を展示いたしております。同じく日本遺産「出羽三山」出羽三山の絵画も多く有ります。
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 春風駘蕩としたお人柄で「春んつぁん」の愛称で敬愛され、生まれ育った山形をこよなく愛し暖かな眼差しで描かれました前田春冶画家は、1930年山形市に生まれ、1953年東京藝術大学美術学部絵画科安井曾太郎教室を卒業、翌年山形で同志と新時代展(後に東北美術協会・北展と改称)を結成。長年にわたり代表として展覧会を開催、山形県美術界の発展に尽力されました。山形西高校、山形北高校、山形芸術学園、山形短期大学などで美術の教鞭をとり、後継者育成に貢献されました。松原秀夫会長、三澤忠一郎事務局長の体制で前田春冶画伯友の会が発足しました。ブラジルのコメンダドール受勲、齊藤茂吉文化賞、山形県教育功労者賞など数々受賞、活躍されました。2005年4月逝去されました。今回竹馬の友で前田画伯の良き理解者で協力者であった故三澤忠一郎氏の約200点に及ぶコレクションから40点を展示、画家自身が綴った作品コメントもあわせてご紹介します。山形の山々の自然の美しさとシルクロードをお楽しみください。

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「冬塔(羽黒山五重塔)」演劇研究家のI氏とYBCのラジオ対談をやった。北展が伯国のサンパウロで展覧会を開くことを中心とする美術対談である。I氏の友の外人が霧の中から五重塔が出てきたとき、これが日本だと感じたという話を聞き、前から描きたいと思っていた羽黒の五重塔を制作、サンパウロ展に出品したが、後日加筆補筆し別の絵になっている。

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「緑風月山(大井沢より)」この絵よりも雲が多く、ダムの一部が画面に入っている30号の油絵(県美展出品)と姉妹作になっている。上記作品は山形東高校校長室にかけてある。こちらはもっと時間をたっぷりかけて描き、山形松坂屋で開いた第23回個展(平成3)に出品したものである。

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「立雲月山(十部一峠)」残雪の月山は特に美しい。幸生から肘折温泉に抜ける道の開通を待って峠からの残雪月山写生を三澤氏と計画する。天候を見て出かけたが秀麗な月山頂上はほとんど雲にかくれて見えない。風で動く雲がまた美しいのでそれに力を入れる。制作中、三澤氏は山あるき。
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「見果てぬ空 悠久の刻」前田春治展に寄せて 岡部信幸山形美術館副館長
(4月26日付荘内日報掲載)


by ChidoMuseum | 2018-04-01 15:06 | 展覧会